SSブログ

電柱の百合:綾部の優しい文化

夏も終わり、秋がすぐ足元まできています。
綾部の街も、少しずつ秋の景色に染まりつつあります。

そんなある日、町内を散歩していると、百合の花が電柱に寄り添うように咲いている姿がありました。
お盆を過ぎると、綾部の街では、百合の花が道端のあちらこちらで花を開かせます。
ですから、この時期にとっては、百合の花はそれほど珍しい花ではありません。
しかし、この百合の花は、少し様子が違います。
よく見ると、電柱に紐で縛り付けてあるのです。
ひょろ長い百合の茎が、風などで倒されないように近所の人が縛ったのでしょう。
少し時間が経っているのでしょうか、百合の花が少し枯れかけています。
しかし、その百合の花は嬉しそうに微笑んでいるように感じます。
綾部に住む人の、心の優しさが伝わってくるような光景でした。

綾部の街は、古代から様々な人が、様々な文化を作り上げてきた古い街です。
そんな人たちの中には、足利尊氏や、上杉謙信の先祖、あるいは坂本龍馬とお龍さんなどの歴史上の有名人や、浦島太郎や、大江山の鬼や、山椒大夫などのこの近隣の伝説や物語の世界の有名人もいます。
これらの有名人を取り巻く普通に暮らす多くの人たちは、もっとたくさんの文化を積み上げてきました。
その文化というのは何でしょうか。
この「電柱の百合」がそれを物語ってくれているように思います。
「優しい心を持って暮らしたい」という文化です。
有名人が歴史や物語の中に残した「心の遺産」、神社や寺や民家などの「建造物や造形物の遺産」、和紙や織物や竹細工などの「工芸遺産」、自然と人とが一体となった「自然遺産」など多くの文化遺産は、この「優しく暮らしたい」という文化が接着剤になって、その時代の人の思いを何重にも積層して綾部という街の中に染み込んでいき、それが多くの文化遺産を残してくれているのでしょう。

文化というのは、その地に住んでいる人が「このように暮らしたいと思う心」です。
工芸や暮らしの足跡などの文化遺産は、そのような文化が創造してきた財産です。
優しい人がたくさん住む綾部の街には、これからも優しい文化が生き続けていくことでしょう。

電柱の百合.jpg

電柱の百合
nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。